2021/01/30 19:58

焙煎ってものすごく専門的で難しそうに感じますよね。僕も実際そう思っていましたし、プロ用の焙煎機を使っていた時も焙煎は難しい物だと思っていました。温度管理や時間管理が人によっても全然違うので、やればやるほど沼なのが焙煎ですね。

コーヒー好きでも焙煎ってなんだか特別な設備とかが必要そうで、なかなか手が出せない・・そんな感じしますよね。
でも、実は焙煎すること自体はすごく簡単です。一般的には1000円ぐらいで販売されている手網という鉄で出来た網のかごを買えば家でも出来ます。僕もはじめは手網を使って焙煎をしてみました。でも、手網で美味しく焙煎するにはかなりのトレーニングと、根気、そして汚れてもいいキッチン環境が必要です。ハッキリ言って安い分、最も難しい焙煎方法だと思います。


そこで、なんとか家庭で手軽にプロレベルの焙煎が出来ないかと考えていろいろ試行錯誤した結果たどり着いたのが鍋焙煎です。


使う道具はこんな感じ。揚げ物用鍋と揚げ物用の温度計、そして木べら(スプーン)です。揚げ物する人なら持っているかも知れません。あとはデジタルタイマーがあると便利です。

ちなみに鍋は極論なんでもいいです。フライパンでも出来ます。僕も初めは家にあったティファールの小鍋を使っていました。ただ、テフロンの鍋をあまり高温に晒すのも良く無いですし、木べらで混ぜ続けるので、表面のテフロンも剥がれることなど問題もありました。

そこで温度が逃げづらいことや、熱伝導性や保温性の高さなどを考えいろいろテストした結果、鉄製の揚げ鍋に行きつきました。しかも、口が開いているタイプよりも、油の飛びを抑えるため口が狭まっていて、持ち手がついているものが焙煎に向いています。理想的には3ミリ以上厚みがあるといいのですが、厚みのある鍋は口が開いており、個人的には厚みより形状での保温性の方が家庭のコンロでの焙煎に向いていると思います。

これだけの道具で、たった10分から15分でプロ並みのクオリティで焙煎が出来ます。この時間は実際の焙煎機を使った時とほぼ同じです。
僕自身もプロ用焙煎機も使いますし、ロースター(焙煎師)の友人も多くいますが、それらと同等のレベルの焙煎が出来ちゃいます。


では、ここでDIY焙煎の方法をご案内します。簡単すぎて驚くかもしれません。


まず準備ですが、鍋に揚げ物用温度計をつけてください。揚げ物用の温度計が無ければ、混ぜるときに使う木べらによくあるデジタル温度計をくくりつけておくという方法もあります。もしくは、安めの赤外線温度計を使うのもありです。
そして手元にデジタルタイマーを置いておきましょう。あとは、鉄製のザルを用意します。

さて、いよいよ焙煎ですが、一番大事なのは、焙煎前にどういう温度変化で焙煎するかをイメージすることです。
分かりやすく考えると、右肩上がりの線グラフを想像し、何分で何度を目指すか、何分で焙煎をやめるかを決めます。ここでは僕の実際やっている温度と時間をまず目安にしてみてください。

3分 100度 → 5分 150度 → 10分 180度 

この温度は豆温度です。通常の焙煎では1分ごとに火力を調整して温度調整したり、ダンパーと呼ばれる弁を調整して空気の流入量を調整したりしますが、鍋焙煎ではこのぐらいざっくりで大丈夫です。


さて、鍋に生豆を入れていよいよ焙煎スタートです。

次にガスをつけ、中火にします。そこでタイマーのスイッチをオンします。

基本的にずっと木ベラで混ぜ続けます。混ぜるイメージは小さな円を描きながら、大きな円を描いて混ぜる感じです。ただ、木ベラだけだと底面と表面の豆があまり混ざらないので、手鍋を定期的に振ったり、そこからひっくり返すように混ぜる必要があります。豆が満遍なく色づくように気をつけてください。

<3分 100度>

まずは3分で100度ぐらいになっているかで火力を調整します。もし豆の表面が既に茶色くなったりしていたら、火力が強すぎるか混ぜ方が足りません。

<5分 150度>

次のターゲットは5分で150度を狙います。

温度計の変化を見ながら、温度上昇が早いなと思ったら火を緩める、そして少し鍋を火から外しながら混ぜるなどします。手鍋だと混ぜるときや、気軽に火から外せるのがメリットです。

<10分 180度>

そして、5分から10分は混ぜるスピードを少しあげます。温度は150度から180度と30度しか上げないのですが、この時間は豆の水分が飛んでいるので一番豆が焼けて色が変化しやすいタイミングです。

180度に近づいてくるとポップコーンの様に豆がポンポンと弾け始めます。これがハゼ(爆ぜ)という現象です。

ちなみに鍋が熱くなるとガスが弱くなる安全装置がついたコンロがほとんどだと思います。うちのコンロもそうなのですが、時々鍋を火から外しているせいかあまり気になりません。解除出来る人は解除してやる方がいいと思います。

<浅煎り 12分 - 15分程度 200度前後>

浅煎りにする場合は、一度目のハゼがすべて終わるまで待ってしまうと焙煎しすぎになってしまいます。
イメージとしては10分で一度目のハゼ(1ハゼ)が始まってから、2分から4分ぐらいで7割から8割がハゼます。豆によってかなりマチマチなので、その豆に合わせて調整が必要ですが、15分まで行くとちょっと長いですね。
ハゼが始まると、チャフと呼ばれる豆の皮が出てきます。もし屋外とか、汚れてもいいキッチンであれば、団扇や手持ちの扇風機などを使ってチャフを鍋から外に飛ばせると、よりクリーンな味わいが楽しめます。チャフが焦げるとその焦げたニオイや苦味が豆についてしまうので。でも、200gぐらいならチャフの量もそれほど多くないですし、中煎りぐらいまでなら焦げもあまり気にならないので僕は焙煎中は放置してます。


浅煎りはこのぐらい。豆の表面にシワがまだあるのが見えるかと。まだチャフが結構残っている感じも見えます。浅煎りは酸味やフレッシュさも楽しめる焙煎度ですが、酸味が苦手な人には酸っぱさが強いと感じるかも知れません。

<中煎り 15分 - 17分程度 200度 - 220度前後>

みなさんに一番オススメしやすいのが中煎りの焙煎です。甘みが強くなり、酸味が落ち着きます。
1ハゼが完全に終わって、豆の表面のシワがなくなりツルッとしてきたなという感じが中煎りの目安です。

<深煎り 18分 - 22分程度 210度 - 220度前後>

とにかくコーヒーは苦いのがいい!という人は深煎りまでいくのも有りです。個人的には深煎りは、お肉でいうと完全に焦げた状態なので、せっかくのコーヒーの良さは感じづらいのですが、逆に質の悪いコーヒーの場合は、欠点部分が焦げることで消えるので、ある一定の甘みと苦味が楽しめるコーヒーになるとも言えます。
220度でしばらく焙煎していると、2回めのハゼ(2ハゼ)がやってきます。1ハゼよりも短いのですが、これが始まったところで終了するか、終わるまで焙煎するかでまた味がかなり変わります。

焙煎が終わったら、ザルに豆をあげます。
理想的には1回目は目の荒いザルでチャフと豆を分離出来ると理想です。僕は以下のような園芸用のザルを使って、1回目は目の荒いザルで大きめのチャフを分離し、2回目は目を細くして豆の表面についたチャフなどを落とすようにしています。ザルで揺すっている時に表面に浮いてくる大きいチャフは自分用ならフーフーして飛ばして除去してます。

ちなみに焙煎後の豆はめちゃくちゃ熱いのでご注意を。焙煎後はできるだけザルに入れて涼しいところに置くか、団扇などで風を送って冷やしてください。そうしないとどんどん焙煎が進んでしまいますので。


さて、どうだったでしょう?
これなら出来そうと思ってもらえたでしょうか?motherlake coffeeでは生豆も販売していますので、ぜひ興味持った人は試してみてくださいね。また動画を撮ったらアップしたいと思います。

 

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